food revolution

体感的にいつまでたっても
「これから春だぞ」みたいな雰囲気なので
カレンダーのずいぶん下に日付が移って
実はもう5月が目の前だということに
ついていけていなかったりします。


こんにちは



この間テレビを消そうと思って偶然目にした
お久しぶりのジェイミー・オリバーの姿に
ついつい釘付けになってしまった
「food revolution」
なんだかいろいろ考えさせられちゃいました。
(日本語では「食育作戦」とかいう
タイトルになっているみたいですが
私自身は「食育」という言葉があまり好きではなく
原題のままでいいんじゃないかと思うのですが・・)



ジェイミー・オリバーはイギリス人のシェフ。


もともとご両親がパブを営んでいたことから
料理の世界に入ったみたいで
一見、アイドル的なマスクの今時の青年風なんだけど
(普通に腰パンはいてバスケとかしながら料理する)
ライフスタイルや材料の調達なんかを含めて紹介する
彼独特のお料理番組「裸のシェフ」で人気に火がつき
自分自身もいくつかのレストランを経営しています。


私はジェイミーのお料理は食べたことがないものの
たとえばサラダに塩気のあるチーズやナッツ
そしてフルーツなどを絶妙の塩梅でミックスするそのレシピ、
大ざっぱかつ繊細に
しごく自然にお料理に向き合う雰囲気や
食材に関わる人や料理を楽しむその環境に対する考え方から
きっと私と同じ方向を向いているはず!と勝手に思いこみ
「裸のシェフ」(当時、実家でしか見られなかった)
好きで結構みてました。



さて話戻って
「food revolution」は
そんなイギリス人ジェイミーが
アメリカの食生活を変えようと
アメリカの普通のいなかに乗り込んで
一般人の食卓や小学校低学年の給食事情に乗り込んでいくというもの。


一般人の食卓編では
肥満の男の子の家に行くのですが
お母さんを筆頭に家族全員が肥満。


そこでジェイミーが男の子とお母さんにパスタの作り方を教えます。
お母さんも男の子も缶のソースでない
ソースづくりを目にするのは初めてらしく
フライパンにオリーブオイルを入れてニンニクを投入するところで
すでに「おぉー」と感心してみたり。


あるいは学校給食編では
普段出している給食とジェイミーのメニューを2つつくって
子どもたちに選ばせるという試みを。


給食ではピザとチップスと、、みたいなメニューで
すべては「あとはチンするだけ」という状態で搬入されてきます。
一方、ジェイミーは玄米ご飯とグリルドチキンとサラダとリンゴと
というメニューで
ジェイミーが給食室に生の野菜や生の骨付き肉をカートにのせて入れた瞬間
給食のおばちゃんたちに「うそやろ、、、」と散々な言い方をされます。
(グリルドチキンはオレンジとしょうゆ色の何かで現場マリネしてました。
サラダもおばちゃんにドレッシングの作り方から教えてた)


国が決めた給食のガイドラインというのはかなりひどいもので
基本加工品を入れて加熱するという風にしかならない。
おまけに必ずパンを2種類出すことというめちゃくちゃな栄養設定で
ジェイミーのご飯出すメニューでパンが2種類ないことに
すでに役人からクレームを入れられるジェイミー。
ジェイミーも「米があるのにパン食ってどうすんだ!」と怒ってましたが
このメイン炭水化物、副菜炭水化物、とどめの炭水化物のルーティーンで
しまった体がつくられる訳がない。



アメリカにいたとき
意外と近くに安くておいしいレストランなんかがあったので
いわゆるファーストフードはほとんど行ったことのない私ですが
(バーガーもちゃんと肉をこねて炭火で焼く
おいしいバーガー屋さんが近所にあった)
アメリカ人みたいな人は
「一体どうやって食物を消化できているんだろう?」と
心から不思議になるほどに
キャンベルの「チキンヌードルスープ」と
本当にチーズとマカロニとホワイトソースしか入っていない
開けてオーブンで焼くだけの「マカロニ&チーズ」と
ほんとに肉とパンだけのバーガーと
ピザおかずチップスのローテーションという
そんな食習慣だから
そういう人たちがつくった制度なら
当然といえば当然なのかもしれない。。。


結局、小学校低学年の子たちは
次から次へと学校給食のピザを選び
ジェイミーがつくったものははき出してしまう子もいるほど。


残ったチキンの山、
捨てられるサラダやリンゴに激しくへこむジェイミー。
でもなんらかのリベンジをするというところで次週に続く。



思わず建築と重ねてみてしまいました。



もともと戦争の復興から効率重視でとにかくどんどこつくるために
既製品を搬入し、組み合わせることだけでつくれるように
この国の建築環境は発展していった。


でも、それが飽和した今でも
やっぱり基本は既製品を持ってきてパチパチはめる、が原則。


建具ひとつとっても建具屋さんにつくってもらうと
金物にどういうものを使うか
材料、枠のあつみ、仕上げはどうするか、
引き手の位置、形状、素材など
伝えないとできない項目が山ほどあります。
実際、既製品の建具なんか見てると
本当に見積もりも、施工するのも
超超簡単。
簡単な工具さえつかえれば誰でもできる。


だからそういう「生の食材を入れる」ことに関して
まずは給食のおばちゃんたちにものすごい抵抗されるんですね。。。
それから食べ慣れない子どもたちにも
「既製品のほうがおいしい!」とか言われちゃうし
はき出されることもある。



昔、イギリスの食は世界有数のまずさを誇っていましたが
一番最近1年前に行ったとき、あまりのレベルの高さに驚きました。
ただグルメにおいしいってだけじゃなくて
食事を取り巻く意識レベルがすでに高いんです。
これ、噂ではジェイミーの功績らしい。



今回の放送で印象に残ったのは
ジェイミーが肥満家庭にパスタの作り方を教えてあげたときに
傍らにさらっと映っていたサラダ
(お兄ちゃんか誰かがつくってた)
ジェイミーが考えたと思われるレシピは
作ったことのない人もつくりやすいように
まるでつみれを二本の包丁でトントンしてつくるように
大きなまな板にサラダの材料をどどっと並べ
ひたすらトントンして
そのまま食卓にサーブするという光景。


普通のシェフは
レシピを作る人と料理を作る人が同じだから
こういうところに心を砕く人はいないのでしょうけど
今やジェイミーはレシピをお裾分けすることはもとより
食事と人との関係をデザインする人になっているので
その辺が普通のシェフとは違うステージにいるのだろうな、と
思ったのでした。


かくいうジェイミーが中年に近づいて
ちょっとぽっちゃり気味になっちゃったのはご愛敬で。



よし
ジェイミーががんばる限り
私もがんばってみる!