おいしくつくるには


昨日、テレビの料理番組のお正月料理特集で
辰巳芳子先生がお煮しめをつくっていました。


どんな凶悪な犯人が背後からおそってくるわけでもなく
地球絶滅の危機が迫っているわけでもないけれど
かじりついて見入ってしまった。



ご自宅のキッチンで淡々とつくられるそのお煮しめというのは
最初に干ししいたけを戻し
その戻し汁で椎茸をふっくらと煮、
十分に冷めたそのあと
別のお鍋でその椎茸を煮た汁と昆布だしで鶏のつみれを煮、
そしてまた十分に冷めたあと
別のお鍋でその椎茸と鶏のうまみのつまった煮汁でゴボウを煮、
さらに十分に冷めたあと
別のお鍋でその椎茸と鶏とゴボウの煮汁でこんにゃくを煮るというもの。


なんというか。
聞けば手順としては誰でも真似できるけど
きっと同じ味は再現できないだろうと思われる丁寧な仕事。


曇りや濁りがない
すごく澄み切った美しいアイディアだなぁと思って
衝撃を受けていました。



もっとよくなるはずだ、と思うと
紆余曲折あってもアイディアは絶対に育っていくし
これはこういうもの、と一旦思ってしまうと
もうそこからは何も転がらない。
なんだか修行にも似た
すごい人生哲学を垣間見た思いだった。


あのお煮しめ
どんな味がするのだろう。