ベンチ的

まわりまわってやってきたお中元のビールも底をつき。
秋を感じる今日この頃です。

さて。
思うことあってWeb2.0のことを読んだり考えたりしていました。
前々から友人に知っておいたほうがいいことの一つとして
オススメされていた事柄ですが
どういうところのどういうものを見てみても
説明の仕方がまるでジェスチャークイズのようで
（「白くて」「丸くて」「点がついていて」
「・・とそれは置いといて」的説明のオンパレード）
うっすら分かったような気もするけど、だからどう？
というのがずっとモヤモヤという状態。

今日、何を思ってそんなことを急に考えたくなったかというと
事務所のやりかたについて
考えていたことを少し実験的にやってみようかな、と思って。

事務所としてどうしてもやりたいことの一つに
「設計事務所の新しいあり方」を探し出したいというのがあります。

もともと土建業界というのは
すごく古い空気をしょっていると思うのですが
設計事務所はその最たるもの。
自分の事務所ではこの閉鎖性、風通しの悪さ、フットワークの重さを
なんとかしたい。

冷静にお客さんの立場で考えたときに
「まだお目にかかったことはありませんが、
お目にかかるときには結婚前提でお願いします。」というお見合い的仕事。
丁か半か、とサイコロふられてるみたいです。
そんなの怖くて、私なら「もう独身でいいっ」と思っちゃいます。
友達に会うたびに「わたしと結婚しない？」オーラを
まき散らすのも好きじゃないし。

そうじゃなくて
理想は、私たちが建築で「これ、すごくいいよ！」と発見したことを
試してみたいと思う人が自由に試すことができる状態にしたい。
すごく本質的で根っこのアイディアはレシピのように誰でも自由に使えて
「でも、あいつに頼むともっとうまいんだよなー」と思ってくれる人がいて
私たちが仕事としてちゃんと成り立つ、というような。

以前、糸井重里氏と渡辺謙さんがほぼ日の中でメールの交換をしていて
そこで「ベンチ」の話をしていたのですが
Web2.0というのは「ベンチ的なもの」にいいかえられるのかな、とも思ったのでした。

ベンチって他の椅子と違って
横並びで並ぶからあんまり構えて話す必要がないし
同じベンチに座ったからといって話す必要がないし
別のことをしていてもいいし
でも、同じ線の上に並んでいるという感覚。

「向き合う」ほどかまえてないし
「寄り添う」ほどうっとうしくないし
「隣にいる」という感覚。

実際のベンチは結構重いからちょっとズレるかもしれないけれど
この「ベンチ的」な考え方って、どこかWeb2.0とも通じて
なんだかいいな、と私も思ったのでした。

話戻って。

「どう思います？」という意図で
こんなパブリックの場で堂々と書いちゃいますが
たとえば基本設計までを一律無料にしちゃおうか、とも思っているのです。
ただし、個人情報はきちんと守った上で
ウェブサイトにプロセスや結果を掲載させてもらうという条件付きで。

見積を希望される方には
有料でお受けしようかと思っているのです。
そこでいただいた代金はそのままそっくり工務店さんに支払うという形で。
（建築の規模や形態にもよりますが、それなりに拘束される作業なので。）
基本設計後だったらそんなに精度はでないと思うので
実際は工務店さんに相談しないといけないと思うのですが。

自分がお客さんだったら、どんなところに頼みたいか、と考えたら
やっぱりどんなものをつくってもらえるのか、が知りたい。
どれくらいの値段で、というのも知りたい。
今までどんなことを考えてきた人で、どういうものをつくってきた人か、
というのも知りたい。（最後まで竣工していなかったとしても）

そうすると、こういうシステムもありじゃないか、という気もするのです。
しかし、うまく意図を説明しないと
「なんでもいいからなるべく安く仕事やります」という人に
見えちゃうだろうな、というのが悩みどころです。

基本設計というのは設計の中でもすごく大事で
その事務所の中核をなす部分だから
こういうことを無料でやってしまおうという発想自身
不謹慎きわまりないのかもしれない。

でも、
お施主さんにもお施主さんとしてのコミュニケーションの練習が必要だし
（ある種の技術だと思う）
実際にお施主さんになって、プロセスを経験してみないと
「建築ってなかなか捨てたもんじゃないよ」ということ
なかなか伝えられない、というのが
わたしの実感として強くあるところです。

ミソとしては、このプロセスがウェブサイトで循環していくことで
プロセスの経験をそのまた見ている人がいるという具合に、体験に段階ができること。

それこそ私らしいうまいバランスを見いだして
うまく仕組みがデザインできるといいのですけどね。

これからも、今考えていること。
ちょっと試験的にアップしていこうかな、と思っています。
妄想ワンダーランドを体現しているわたしなので
書きだしたらとまらないかも・・・

ご意見、ご感想等、自由にいただければ幸いです。
ではでは！